「全部やる」エンジニア 〜 問題の解像度で勝負するリチェルカのFDE 〜

野田 明良 野田 明良 · 12 min read
「全部やる」エンジニア 〜 問題の解像度で勝負するリチェルカのFDE 〜
目次

はじめに

リチェルカの共同創業者でエンジニアの野田です。「AIエージェントが業務を遂行する基幹システム」をAgentic ERPと名付け、その中でAI-OCRソリューションとして、RECERQA Scanを開発・提供しています。

最近、FDE(Forward Deployed Engineer)という職種が日本でも話題になっています。リチェルカでもこの名前でエンジニアの募集を始めました。私自身「FDE」という言葉は以前から知っていましたが、自分たちの働き方と重ねて意識するようになったのは、日本でも注目が集まってからです。振り返ると、創業当初からそれに近いことをやってきました。

たとえば、リチェルカのエンジニアは展示会のブースに自ら立ちます。デモをしながらお客様の課題をヒアリングし、業務の流れを理解した上でプロダクトを磨き上げる。エンジニア自身が必要な機能を定義し開発をリードする。それが最速でプロダクトを届ける方法だと考えています。

この記事では、具体的なプロジェクトの話を通じて、リチェルカのFDEが実際に何をしているのかを伝えます。

リチェルカにおけるFDEとは何か

FDEはPalantirが始めた職種で、顧客の現場に入り込み、技術で課題を解決するエンジニアを指します。一般的なソフトウェアエンジニアとの違いは、「何を作るべきか」「どう解決するか」を見極めるところから関与する点です。

リチェルカにおけるFDEも同じです。顧客と一緒に問題の構造を解きほぐし、どう解決すべきかを見極め、設計・実装まで全部やる。具体的にどういうことか、とあるプロジェクトの事例をお話しします。

問題の解像度が、技術の射程を決める

ある展示会で、大手商社のお客様と話す機会がありました。非定型帳票の処理を自動化したいとのことで、RECERQA ScanのOCR機能をデモしたところ、導入が決まりました。

OCRでの読み取りは順調に進みました。問題はその先です。読み取ったデータを基幹システムに連携する段階で、壁にぶつかりました。

解析を進めると、原因はデータそのものにありました。注文書に書かれている商品名と、基幹システムに登録されている商品コードが一致せず、同一商品に対して複数の表記が併存していたのです。

顧客ごとの要望に柔軟に応え続けた結果こうなっており、現場の担当者が長年の経験で「この表記ならこのコード」と引き当てる職人技でなんとか業務を回していました。現場にも課題意識はあったものの、先送りされてきた問題です。

こういうとき、リチェルカのFDEはどう動くか。

まずAIを活用した名寄せで、技術的にカバーできる範囲を検証しました。吸収できる領域は広いものの、限界もある。根本的にはマスタデータの整備が必要です。非定型な取引は今後も増えていく。そのたびに人手で対応するより、整備されたデータ基盤の上で自動化する方がいい。

長年の運用を見直す話であり、簡単に「やりましょう」とは言えません。それでも、「マスタ整備をやらないとこの先詰まります」と正直にお伝えしました。

当然ながら、長年の運用を簡単には変えられません。先方社内で相応の効果や意義の説明が必要になります。それでも、プロジェクトチームはマスタ整備の推進を決断してくれました。

この決断に応えて、社内説明に必要なデータの整理や効果検証を一緒に進め、自分たちのプロダクトやノウハウを全部使って運用設計や業務フローの再設計まで取り組みます。フィードバックで終わりじゃない。決断の先まで一緒に泥臭くやり切る。これがリチェルカのFDEです。

FDEが見ている景色

商社の話だけだと偏るので、FDEが普段見ているものを並べてみます。

  • 現場で業務フローを理解する
  • データの構造と、そうなった歴史的経緯や組織的構造を理解する
  • ステークホルダーがそれぞれ何を達成したいかを把握する
  • 何が本当のボトルネックかを突き止める
  • 問題解決のアプローチを設計する
  • プロダクトの機能に落とす
  • プロダクト全体のロードマップをコントロールする

要は、全部やるということです。コンサルタント、セールス、お客様のチームなどあらゆる関係者を巻き込みながら推進します。めちゃくちゃ面白い仕事です。

商社案件のような深い問題解決もあれば、展示会でヒアリングした課題をその場で設計に落として翌週にはプロトタイプをお客様に見せる、というスピード勝負もあります。この振れ幅がFDEの醍醐味です。

リチェルカでは主要なAIコーディングツールをほぼすべて導入しており、少数精鋭でプロダクトを開発しています。事実、少人数でもエンタープライズ向けに通用するソリューションを開発できる時代が来ています。ただし、AIはエンジニアの問題定義をそのまま増幅します。雑な指示を入れれば雑な結果しか出てこない。

AIが強力になるほど「何を解くべきか」を正しく定義できるエンジニアの価値が上がる。FDEのスタイルとAI開発はよく噛み合う、というのが実感です。

なぜリチェルカか

ここまでFDEの仕事とその魅力を書いてきました。「でも、それはどの会社でもできるのでは」と感じた方もいるでしょう。ここからは、リチェルカでFDEをやる魅力について書きます。

まず、案件です。代表の梅田はセールス出身で、大手企業の複雑な業務課題を持ち込んできます。本件のように、今まで”できない”とされてきた問題に正面から取り組む機会がたくさんあります。難易度が高く、解決できれば社会的にインパクトのある課題に挑めること。FDEにとってこれ以上の環境はありません。

そして、カルチャーです。リチェルカには「根っこを掴む」「健全なコンフリクト」というバリューがあります。課題の本質を掘り下げろ、言いにくいことも率直に伝えろ、という考え方です。これはFDEだけでなく、リチェルカのすべてのチームの根底にあります。だから社内で「それはやりすぎだ」とか「無理じゃん?」とはならない。「根っこはそこだよね」「じゃあどうすれば実現できるかな?」と後押ししてくれる。商社案件でお客様のマスタデータの持ち方にまで踏み込めたのも、このカルチャーがあってこそです。お客様自身も気づいていない本質的な課題に向き合い、本当に解くべき問いにフォーカスできる。それがリチェルカでFDEをやる理由です。

おわりに

AI時代、作るだけなら誰でもできるようになってきました。エンジニアに求められるのは、業務を理解して正しい問題を定義できるかどうかになっていきます。問題を正しく定義できているか、根っこは掴めているか。実際にプロジェクトに入って何度も繰り返すしかない。でもやれば確実に身につきます。

楽な環境ではないですが、圧倒的に成長したい人と一緒に仕事がしたい。「現場に入り込み、課題を見極め、全部やる」を楽しめる人をお待ちしています。


リチェルカでは、同じ志を持つ仲間を募集しています。